デスクトップウォレット仕様・機能比較

このページでは、ビットコインのデスクトップウォレットの仕様と機能を細かく比較解説します。なお、バージョンアップ等により大幅に仕様が変わる可能性もありますので注意してください。また、本ページはすべての仕様・機能を網羅しているわけではありません。

デスクトップウォレット比較表

ここではBitcoin Core、Electrum、Multibit、Copay、mSIGNAの主要5ソフトについて解説します。

クライアント形式

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
クライアント形式 完全型 軽量型 軽量型 軽量型 完全型

ブロックチェーンをダウンロードするかしないかの違いです。Bitcoin Core(完全型)とmSIGNAはPC上にダウンロードを行うので、初回起動に数十時間かかる上に、起動毎に同期が必要であり使用までに時間がかかります。また、ブロックチェーンは数十GB以上あることに加え、時間とともに徐々に容量が増えていくため、HDDスペースを圧迫します。Bitcoin Core 0.10.0以降、ブロックチェーンの同期は早くなりましたが、ブロックチェーンの規模は日々大きくなっており、時間がかかるのは変わらない状況です。Bitcoin Core 0.12.0以降、プルーン(pruning)モードを利用して古いブロックチェーンを削除することにより、HDD容量を節約することは可能になりました。

Electrum、Multibit、Copayは軽量型(SPVクライアントとも呼ばれます。)で、これはブロックチェーンの一部のみをダウンロードし、残りは外部サーバーのブロックチェーンを参照するものです。非常に早く使用でき、HDDの容量を食うこともありませんが、外部サーバー上のものを利用しているという点でややセキュリティ面で不安があるともいえます。

HDウォレット

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
HDウォレット

英語で「hierarchy deterministic wallet」と言います。これは、財布内のすべてのアドレス(+秘密鍵)と結びついているマスターキーを生成する財布です。このマスターキーが分かればすべてのアドレス・秘密鍵が決定(deterministic)するため、このように呼ばれます。

すべてのウォレットがこのタイプですが、Bitcoin Coreに関しては0.13になって対応したばかりでマスターキーのインポート等がまだできないので、実質的にHDウォレットであることの利点が少なくなっています。マスターキーのことは、「ウォレット種(seed)」や「パスフレーズ」、「復元フレーズ」とも呼ばれます。マスターキーさえ覚えていれば、追加のバックアップの必要がないため非常に便利です。また、後に解説しますが、この仕様のおかげでコールドストレージ機能や複数PCでの同時利用が可能となっています。このマスターキーは十数個の英単語から構成されており暗記することも可能なため、ブレインウォレット(脳内ウォレット)と呼ばれることもあります。

HDウォレットはマスターキーを他人に知られると、同時にすべてのアドレス・秘密鍵情報が知られてしまうという欠点もあるので、厳重に保管しなければいけません。

バックアップ形式

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
バックアップ形式 デジタルのみ ペーパー ペーパー ペーパー ペーパー

先ほどのHDウォレットと密接に結びついています。HDウォレットは紙のバックアップを印刷したりマスターキーをメモしておくだけで、二度とバックアップを行う必要はありません。物理的にバックアップを盗まれない限りこのバックアップが流出する可能性が低いので、セキュリティにはより優れていると考えられます。デジタルのデータでバックアップもできますが、セキュリティ的に劣るためお勧めされていません。

一方、Bitcoin Coreは電子データ形式のみに対応しています。

また、HDウォレットでない場合、定期的(アドレスが新規作成されるたび)にバックアップを行わなければいけません。これは、Bitcoin Coreに「キープール」という特殊な仕様があるためです。キープールとは、クライアント画面上に表示されているアドレス以外に見えない100個(変更可)のアドレスが作成される、という仕様です。画面上で「アドレスの作成」を行うときは、実際にはすでに作成されたアドレスを取り出しているのにすぎません。なお、100個アドレスが消費されるとまた新たに100個のアドレスを新規作成するため、これがバックアップのタイミングとなります。画面上で見えないだけで実際には使用されているアドレスも存在するので注意してください(お釣り用アドレス参照)。

財布の暗号化

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
財布の暗号化

アドレスとそれに対応する秘密鍵が判明すると勝手にビットコインを引き出されてしまいますが、それを保護するのが財布の暗号化です。仮に財布ファイルが盗まれても、財布が暗号化されていると送金にパスワードが必要になるため、簡単に秘密鍵を取り出すことはできません。

この機能はすべてのクライアントで実装されています。ただし、デフォルトの設定では暗号化されていないクライアントもあるので、初回起動後は必ず暗号化を行ってください。

複数PCでの同時利用

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
複数PCでの同時利用 ×

同じ財布を複数のPCで同時に利用できる機能です。Bitcoin Core以外はすべて利用できます。

ブロックチェーン(過去の全取引記録)はネットワーク上にすべて公開されているので、一見すべてのクライアントで行えると思えるかもしれませんが、実際は違います。Bitcoin Coreは、ローカルドライブ上の取引記録等も参照しているためだと思われます。Bitcoin Coreで同じ財布を使用しようとすると正しく残高が表示されなくなることがあるようなので、行わないでください。

複数財布の管理

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
複数財布の管理

同一クライアントで複数の財布を同時に表示する機能です。

ElectrumとMultibitでは同一画面上には表示されませんが、他の財布ファイルを開くことで複数財布の利用も簡単にできます。ただし、Bitcoin Coreは、財布の切り替えはコマンドラインを使用しなければならないため面倒です。

Copayは同一画面上には表示されませんが、1クリックで簡単に切り替えることができます。mSIGNAでは複数財布の管理を同一画面上で行うことができます。

署名機能

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
署名機能 × ×

これは、アドレスが本当に送金者本人のものかどうかを、任意のメッセージに秘密鍵で署名して証明できる機能のことです。署名済みのメッセージと署名前のメッセージ、アドレスを相手に伝えることによりそのアドレスの所有権の証明が可能です。

CopayとmSIGNA以外のクライアントで実装されており、英語の場合「Sign/Verify Messages」などと表示されているのがこの機能です。

取引手数料手動設定

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
取引手数料手動設定

取引手数料を設定できる機能で、すべてのクライアントで実装されています。ただし、Copayではほとんど自動で3段階のみ調節することが可能です。取引手数料は取引承認の速さと密接に結びついており、取引手数料が多ければより速く承認がおこなわれます。多額を確実に迅速に送金したい場合に手数料を多く設定することなどが考えられます。また、取引の際に必要となる手数料は送金するBTC額等の取引データ量と関係しており、多額の送金のときは手数料があまり必要なくなる場合もあるので、低く設定することも考えられます。

手数料が0か少なすぎると、取引が非常に遅くなるかあるいは行われなくなる可能性もあります。

コールドストレージ機能

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
コールドストレージ機能

ビットコインを安全に保管するための機能で、2つのPCを用意したうえで、秘密鍵を1つのオフライン環境のPCにのみ保存し、そのPC上で取引を承認(署名)できる機能です。オンライン環境のPCには秘密鍵が保存されていないので、そのPCがハッキングを受けてもアドレスしか流出せずそのハッカーはビットコインを使用することができません。

使用したいときは、オフライン環境下の他PCに保存している秘密鍵を利用して取引を承認することになります。ただし、当然PC間の移動にはUSBメモリが必要となり、USBメモリを介してウイルス感染する危険性もあるので、十分注意する必要があります。

Bitcoin Coreでは一応使用可能ですが、コマンドラインを使用する必要があるため、使用方法がわかりにくいのが欠点です。

Multibit及びCopayでは基本的には実装されていない機能ですが、ハードウェアウォレットと連携しており、オフライン環境のウォレットとしてハードウェアウォレットを使用することが可能です(CopayはChrome拡張機能版のみハードウェアウォレットと連携しています。)。

コインコントロール機能

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
コインコントロール機能 × ×

送金時に、どのアドレスから送金するかを選択できる機能です。Bitcoin Core, Electrum, mSIGNAで実装されており、MultibitやCopayでは自動的に選択されることになります。この機能がない場合、自動的にどのアドレスから送金するかが決定されるため、相手に自分が持っているBTC残高がばれてしまう可能性があります。そのため、匿名性を高めるという点で利用されています。

お釣り用アドレス

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
お釣り用アドレス

ビットコインを送金した時に、「お釣り」用のアドレスを作成する機能のことです。これはビットコインの送金時、アドレス内のすべてのBTCの移動先を決定しなければならない、という仕様によるものです。

例えば、アドレスAには10BTCあり、Aから他人のアドレスBに1BTC送りたいとします。このとき、「1BTCをアドレスBに送る」という取引はつまり、「1BTCをアドレスBに送り、9BTCをアドレスAに送る」ということを意味します。しかし実際にはすべてのソフトで新しいお釣り用アドレスCを自動作成し、「1BTCをアドレスBに送り、9BTCをアドレスCに送る」取引を行う仕様になっています(ソフトによってお釣り用アドレスの画面上への表示方法などは異なります。)。

これは、同一アドレスの再利用は避けるべきという、主にプライバシー保護の観点で実装されていますが、仕様を理解していないと混乱しやすいという弊害もあります。

マルチシグネチャ機能

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
マルチシグネチャ機能 ×

Multibit以外で実装されています。Bitcoin Coreでも使用可能ですが、コマンドラインを使用しなければいけないため面倒です。英語では「multisignature」、直訳すると「複数署名」です。この機能を利用すると、ビットコインの送金時に複数の鍵(署名)が必要となります。送金の際に複数の署名が必要なアドレスという意味で「マルチシグネチャアドレス」などと呼ばれることもあります。

セキュリティ面で非常に有用であり、ただセキュリティを高めるだけでなく、家族・会社内でのウォレットの共有、エスクローなどへの応用も考えられます。

通常個人で使う場合、利用する機会は少ないと思われますが、Copayはモバイルアプリも提供しており、デスクトップウォレットとモバイルウォレットで同じマルチシグネチャアドレスを使用することにより、二段階認証機能として利用することもできます。その他のソフトも2台のPCで二段階認証的に使用することも可能です。

マルチシグネチャアドレスの形式として一般的に「A of B」(A,Bは数字)の形で表されます。例えば2-of-3であれば、鍵が3つ存在し、そのうち2つの鍵を利用すれば送金が可能ということになります。

送金後の手数料変更(RBF)

機能・仕様/ソフト名 Bitcoin Core Electrum Multibit HD Copay mSIGNA
送金後の手数料変更(RBF) × × ×

ビットコインの送金後に手数料を変更できる機能です。一般にReplace-by-Fee(RBF)と呼ばれます。当然のことながら、ブロックに取り込まれ取引が確認された後は変更をおこなうことができず、未承認の取引のみ変更が可能です。

ビットコインの取引は手数料が高いほど早く承認される傾向にありますが、ビットコインネットワークが混雑していたりすると必要手数料が上がることがあります。そのような状況でなかなか承認・確認されない取引があるとき、このRBFを利用して手数料を再設定して引き上げることですぐに承認されることが可能です。

ただし送金を受け取る側としては、未確認のうちは取引がキャンセルする恐れが高くなる機能ですので、この機能が有効になっている取引は拒絶する設定にしている可能性もあるので、通販等での利用は控えたほうがいいでしょう(受け取る側のリスクが高いので、この機能を利用するには事前に変更される可能性があるという情報を取引データに付与しておく必要があります。)。

既定の設定ではオフにされていますが、Electrumで利用可能です。Bitcoin Coreでもコマンドラインから利用可能です。

最終更新日: 2016年12月15日

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