ビットコインと所得税(2016年分)

※本ページは主に確定申告を行う個人の方向けに書かれています。また、あくまで考察であるため、個別の事案や正確な内容については所轄の税務署などにお問い合わせください。

ビットコイン(仮想通貨)の法的位置付け

ビットコインをはじめとする仮想通貨は、2016年6月公布の法改正により資金決済法(資金決済に関する法律)のなかで以下のとおり定義付けされました。

一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために 不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うこと ができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨 及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて 移転することができるもの

二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって 、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

本法律は公布から1年以内に施行されることとなっていますが、2016年12月現在、施行はされておらず法律上は未定義の状態となっています。

税法上の位置付け

上記のとおり、法律上の定義づけはなされたものの、本法律は利用者保護を主目的とする取引所業務の規制等が主であり、新たな税法や通達が出されたわけではなく仮想通貨に関する税法上の統一的な取り扱いは未だに公表されていないので、法的位置づけが明確になったからといって税法上の取り扱いが直ちに変化するわけではないと思われます。

本ページでは、資金決済法の改正前に出された以下の国会答弁やその他考察資料等をもとにビットコインにかかる所得税について考察します。

ケース別の仮想通貨に対する課税

仮想通貨は法改正により支払手段の一つとして扱われるようになりましたが、税法上は法定通貨(=日本円)や外国通貨等を除いてはすべて資産(=モノ)として取り扱うのが原則であるため、金地金などと同様に考えるのが妥当だと思われます。この考えを基本として以下のケースを考えてみます。

仮想通貨の取引により得た利益(キャピタルゲイン)

最も多くの人が該当する場合だと思われます。評価益(含み益)への課税はなく売却した時点の利益が課税対象となります。どの所得区分になるかは明確になっておらず、税務署の担当者や税理士によっても意見が異なるのが現状のようです。実際に申告の必要がある場合は、所轄の税務署や税理士の方に相談することをおすすめします。

なお、実際の申告を考える際には、売却・交換の頻度によって所得区分の取り扱いが変わることが考えられ、営利目的で何回もトレードすることにより利益を得るデイトレードやスイングトレードの場合、雑所得または事業所得としてみなされる可能性が非常に高いです。

①譲渡所得になる場合

譲渡所得には50万円の特別控除枠があるため、50万円以下の利益には課税されません。ただし、譲渡所得全体で50万円のため、仮想通貨以外の金地金等の譲渡所得がある場合には、すべて合算して50万円以下の場合のみ非課税となります。

譲渡所得の課税対象額は以下のように計算されます。なお、ほとんどいないと思われますが、保有期間が5年超の場合、課税対象額はこの半額となります。

売却価格 - (購入価格 + 手数料等経費) - 50万円 = 譲渡所得

税率は、総合課税であるため他の給与所得等との合算で計算することになります。分離課税される株式等の売却とは異なりますのでご注意ください。

※譲渡所得は「生活に通常必要でない資産」の譲渡益に該当しなければ一般的に給与所得など他の所得と損益通算が可能ですが、ビットコインは「生活に通常必要でない資産」と見なされ損益通算はできない可能性があります。

②雑所得(事業所得)になる場合

雑所得には控除額等は設けられておらず、原則として全額課税となります。ただし、年末調整を行っており確定申告を行う必要のない給与所得者については給与所得(+退職所得)以外の所得が20万円を下回る場合は、申告義務がありません。

逆に言えば、確定申告を行うすべての納税者は20万円以下であっても申告義務があり、20万円を超えると例外なくすべての人に申告義務が発生するので注意しましょう。

仮想通貨とのトレードによって得た利益

例えば、ビットコイン以外の仮想通貨(=アルトコイン)とのトレードによりビットコインを増やした場合、ビットコインを増やした時点で譲渡所得または雑所得(事業所得)になると考えられます。

商品・サービスを仮想通貨払いで購入して得た利益

これは物々交換というかたちになります。支払時の仮想通貨の評価額が、仮想通貨入手時の時価を上回っている場合、その分の含み益が譲渡所得または雑所得になると考えられます。

商品を購入するたびにいちいち算入しなければならないのは非常に煩雑で現実的ではないかもしれませんが、原則論でいえば上記のキャピタルゲインと合わせて計算すべきでしょう。

採掘により得た利益

ビットコインの採掘は現在では非常に困難ですが、その他の仮想通貨の採掘を行っている方はいるかもしれません。これは、雑所得または事業所得になると思われます。

採掘の場合には、採掘に成功した時点と仮想通貨を売却した時点とどちらの時点で課税されるかということが問題となります。これは上記リンクの大阪経済大学の論文でも述べられているように、その年分の収入金額とすべき金額について所得税法第36条第1項に「別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。」と書かれています。

よって、仮想通貨は入手した時点で現金化や商品との交換が可能であり経済的価値があるため、原則的には採掘に成功した時点を所得とするのが正しいものと思われます。さらに言えば換金時に仮想通貨が値上がりしていれば、その分の利益を譲渡所得または雑所得として算入すべきです。ただし、実際の所得の計算においては、採掘時点の時価の計算など複雑困難であり、正確な所得額の把握も難しいことから、現実的に考えれば売却した時点のみ課税すべきと言えるかもしれません。疑問がある際には税務署などに相談した方が良いでしょう。

営利目的による仮想通貨の販売等により得た利益

ヤフオク・通販サイト・対面販売等で継続的に販売を行っている場合は雑所得または事業所得になると思われます。

商品・サービスを仮想通貨払いで販売して得た利益

この場合も雑所得または事業所得になると考えられます。

仮想通貨として得た給与

給与を現金ではなく仮想通貨などのモノとして受け取った場合も当然給与所得として算入されます。

ビットコインと消費税

本ページは所得税について書かれていますが、仮想通貨においては消費税も重要な問題の一つです。仮想通貨の交換時には消費税も発生するものと思われますが、消費税の納税義務者は売上高1,000万円以上の個人事業主や法人であるため、1,000万円以上規模で事業として仮想通貨の取引等を行っていない限り気にする必要はないでしょう。

なお、平成29年度税制改正大綱により、平成29年(2017年)7月1日以後は仮想通貨の取引に係る消費税は非課税となる予定です。

まとめ

取引や採掘により得た利益の計算には仮想通貨の取得時の時価や経費などが重要になりますので、正確な申告をするためにはきちんと記録しておくことを心がけておきましょう。

上記のように、現在ビットコインをはじめとする仮想通貨は税法上の取り扱いがあいまいな状況です。本ページはあくまで考察ですので、繰り返しになりますが個別の事案については税務署や税理士の方などにご相談ください。

最終更新日: 2016年12月26日

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