許可型ブロックチェーンとプライベートブロックチェーン

ビットコイン2.0の開発の流れの中で、2015年ごろから許可型ブロックチェーンまたはプライベートブロックチェーンと呼ばれるような新しいタイプのブロックチェーン(分散型台帳)を示す用語が出現し始めました。

※本ページでは、現在最も一般的だと思われる定義を記載していますが、これらの用語の定義や意義については曖昧であり、短期間のうちに変化することも考えられますので、参考程度にお考えください。また、ブロックチェーンの定義についても様々な意見がありますが、本ページでは特に区別せず広範に分散型台帳のことをブロックチェーンと呼んでいます。

許可型ブロックチェーン(Permissioned blockchain)

許可型ブロックチェーンとは、特定の複数または一つの団体・人により許可されたコンピュータが取引(ブロック)の承認者となるブロックチェーンまたは分散型台帳のことです。従来のビットコインなどの仮想通貨では、不特定多数の誰もがマイニング(取引の承認)に参加できるので、非許可型(permissionless)と呼ばれます。

許可型では、承認者を選ぶ管理主体が存在するため、より分散度が低いかたちのシステムですが、その分取引承認のスピードを早くすることができたり(ビットコインでは10分、許可型では通常数秒以内)、取引承認のインセンティブ(ビットコインの場合は採掘の報酬)が不要になったりするため、低コストでスピード性のある運用が可能になるというメリットが存在します。

また、従来のブロックチェーンは取引履歴が全世界に公開されているため、秘密の情報などを扱うのが難しく、ブロックチェーンの仕様変更には取引の承認者であるマイナーをはじめとするコミュニティの合意が必要であり多大の労力を要します。一方で、許可型では参加者を制限することで情報の公開を制限したりKYC(利用者の本人確認)を導入したり、ブロックチェーンの仕様変更も容易であるため、企業・団体が内部で運用しやすい方式といえます。

Rippleは許可型(Permissioned)か?

決済・価値交換プラットフォームであるRippleは、多くの場合、許可型に分類されます。

これは、特定の管理主体が承認者を指定しないと分散型台帳の分岐(フォーク)が発生する問題があるためです。Rippleのプロトコル上は、参加ユーザーが取引の承認者(UNLと呼ばれる)を自由に選ぶことができることになっているため、根本的には非許可型の分散型台帳であると見ることも可能ですが、完全に自由に承認者を選んでしまうとネットワークが分裂するため、現実的にはすべての参加者が管理主体となっているRipple社によって指定された承認者を選択し、実質的に許可型となっています。

実際にRippleでは非常に速いスピードで取引承認が行われ、明らかな取引承認のインセンティブも存在していません。

Bitsharesは許可型(Permissioned)か?

分散型金融プラットフォームであるBitsharesは、多くの場合、非許可型(permissionless)に分類されます。

Bitsharesでは、取引の承認者には特定の少数(数十人程度)のみが「許可」されて選出され取引承認を行います。しかし、これは、特定の管理主体ではなく、Bitsharesの基軸通貨BTSを保有する不特定多数のユーザーの投票により選ばれています。定義の仕方によっては、Bitsharesは許可型のブロックチェーンと見なされますが、「特定の主体によって」許可された、という条件を付ければ非許可型のブロックチェーンといえるでしょう。

プライベートブロックチェーン(Private blockchain)とパブリックブロックチェーン(Public blockchain)

許可型ブロックチェーンの他にも、プライベートブロックチェーンという用語とパブリックブロックチェーンという用語があります。これらには大きく分けて二つの使われ方があります。

一つ目は、単純に許可型ブロックチェーンの同義語としてプライベートブロックチェーン、非許可型の同義語としてパブリックブロックチェーンという言葉を使う場合です。この使い方が最も多いと思われます。

二つ目は、許可型ブロックチェーンをさらに細かく分類し、プライベートなものとパブリックなものに分ける用法です。この場合、プライベートとパブリックという言葉によってブロックチェーンの公開状態を示します。誰でもブロックチェーンの情報を閲覧できる場合はパブリックブロックチェーン、閲覧者が制限されている場合はプライベートブロックチェーン、というわけです。この分類方法をあてはめると、Rippleは許可型だがパブリックであるということができます。

コンソーシアムブロックチェーン(Consortium blockchain)

コンソーシアムブロックチェーンとは許可型(プライベート)ブロックチェーンの中でも、特に管理主体(または取引の承認者)が複数の団体からなるようなブロックチェーンのことを指します。例えば、複数の金融機関により共同で運用されるようなブロックチェーンは、このコンソーシアム型に分類されます。

従来の非許可型のブロックチェーンよりも、許可型は分散化されておらずブロックチェーンのメリットが失われている、といった批判がなされる場合が多くありますが、コンソーシアムブロックチェーンでは取引承認者の数は一定数が保たれており、集中化しているビットコインのマイニングプールよりも分散化がなされているとも言える、という意見もあります。

複数の団体からなるコンソーシアムブロックチェーンと対比させて一つの団体のみからなるブロックチェーンのことを特にプライベートブロックチェーンという場合もあります。

トークンレスブロックチェーン(Tokenless blockchain)

トークンレスブロックチェーンとは内部の基軸仮想通貨(トークン)が存在しないブロックチェーンのことです。従来のブロックチェーンでは、取引承認者に報酬(仮想通貨)を与えることにより承認参加のインセンティブを保ったり、取引手数料を仮想通貨で支払わなければならないシステムにより不正なスパム送信を防いだりするために、BTCなどの基軸通貨が必須でした。

しかし、許可型では取引承認のインセンティブを設定する必要もなく、参加者を制限したりするなどスパム送信を防ぐ方法が他にも存在するので、基軸通貨がないというトークンレスブロックチェーンも存在します。

許可型ブロックチェーンと分散型データベース

従来のブロックチェーンであった不特定多数の誰もがネットワークに参加できるという特徴が、許可型ブロックチェーンでは失われているため、ブロックチェーンの書き換えがより容易である(従来型よりもセキュリティが十分でない)、国などの規制・検閲に対する耐性がない、といった批判がなされることがあります。

実際に許可型ブロックチェーンと従来の分散データベースは何が違うのか?という議論があります。許可型ブロックチェーンは「ゼロダウンタイム」や「誰にも変更できない」といった利点がよく言われますが、これらのメリットは非許可型から許可型にすることで弱くなっており、従来の分散型データベースにより近いものになっているため、許可型ブロックチェーンは分散型データベースとほとんど同じであるという意見もあります。

最終更新日: 2016年03月21日

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