ビットコインをはじめとする仮想通貨は、2016年6月公布の法改正により資金決済法(資金決済に関する法律)のなかで以下のとおり定義付けされました。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために 不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うこと ができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨 及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて 移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって 、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
本法律は2017年4月1日から施行されています。
2019年6月の資金決済法の改正により、「仮想通貨」の呼称が「暗号資産」に変更されることとなりましたが、2022年末現在税制に関しては引き続き改正は行われていません。
上記のとおり、法律上の定義づけはなされたものの、本法律は利用者保護を主目的とする取引所業務の規制等が主であり、新たな税法や通達は未だに出されてはいません。
そのため、従来の税法をそのまま適用することが考えられ、実際に国税庁からは以下のような仮想通貨に係る税金について詳細な解説が公表されています。
特に2018年からは計算書の電子ファイルも含めた詳細なFAQが公開されていますのでそちらを参考にすることをおすすめします。
毎年FAQの内容には加筆・修正が加えられているようなのでご確認ください。2023年1月からは暗号資産だけではなくNFTの税務に関するFAQも公開されています。
原則としてどのケースでも雑所得(事業所得)の総合課税であり、税率は他の所得と合算した上で5~45%の累進課税となります。
雑所得には控除額等は設けられておらず、原則として全額課税となります。ただし、年末調整を行っており確定申告を行う必要のない給与所得者については給与所得(+退職所得)以外の所得が20万円を下回る場合は、申告義務がありません。
逆に言えば、確定申告を行うすべての納税者は20万円以下であっても申告義務があり、20万円を超えると例外なくすべての人に申告義務が発生するので注意しましょう。
また、雑所得の金額は計算上生じた損失は、雑所得以外の所得と損益通算することはできません。
国税庁から公表されたFAQの内容が非常に詳細なのでそちらを見ていただければ十分かと思いますが、以下に内容を簡単にまとめます。
最も多くの人が該当する場合だと思われます。評価益(含み益)への課税はなく売却した時点の利益(売却価額-取得価額)が課税対象となります。所得区分は雑所得(事業所得)です。
仮想通貨の証拠金取引(FX)の場合であっても、申告分離課税等は適用されず、同様に雑所得の総合課税となります。
これは物々交換というかたちになります。支払時の仮想通貨の評価額が、仮想通貨入手時の時価を上回っている場合、その分の含み益(商品価額-仮想通貨の取得価額)が雑所得(事業所得)になります。
例えば、ビットコイン以外の仮想通貨(=アルトコイン)とのトレードを行う場合、先の商品・サービスを仮想通貨払いで購入して得た利益と同様に「仮想通貨Aの購入価額-仮想通貨Bの取得価額」が雑所得(事業所得)になります。
ある仮想通貨を他の仮想通貨に交換しただけで課税が発生し申告が必要になることは見落とされがちで申告漏れとなりがちなので注意しましょう。
マイニングに成功し仮想通貨を取得した時点で利益(取得時点の時価-マイニングに要した必要経費)が雑所得(事業所得)として課税されます。
売却時点でも課税され、その場合の利益は売却価額-取得時点での時価となります。
その他ステーキング・レンディングなどにより得た利益についても同様に課税対象となります。
仮想通貨の分裂により新たなコインを入手した場合は、その新コインの売却時点で雑所得として課税されることとなります。ハードフォークの場合は発生時点では取引市場が存在していないため、取得価額は0円として計算します。
2019年から、仮想通貨に係る所得の計算方法として総平均法と移動平均法の二つが示されました。特に移動平均法を選ぶ場合は、異なる種類の仮想通貨ごとに初めて取得した年の確定申告期限(原則翌年3月15日)までに所轄税務署への届出が必要になりました。
届出をしない場合は、総平均法が自動的に選択されることとなっています。2019年以前にその仮想通貨を取得した方は、2020年3月までに届出をしなければならないことになっていましたが、既にその期限は過ぎています。届出ていなかった方は総平均法により計算しなければならないので注意しましょう。一度選択した後は、特別の理由がない限り原則として3年間は評価方法の変更ができないことになっています。
なおこれらの計算をせず、取得価額を収入金額の5%(100分の5)とすることも認められています。購入単価がわからなかったり、購入時より20倍以上値上がりしている場合は、5%とするのが良いでしょう。
細かい計算例などは、先のFAQに記載されているため参考にしてください。
※総平均法:一定期間(基本的には1年間)内の仮想通貨の取得価額をすべて集計し、平均取得価額をまとめて計算する方法。計算が簡単なのがメリットである一方、実際の利益と乖離する場合があったり1年の最後にならないと所得がわからないデメリットがあります。
※移動平均法:仮想通貨を取得する都度、平均取得価額を計算する方法。実際の利益に近くすぐに現在の所得が把握できるメリットがある一方、計算が煩雑になるというデメリットがあります。
仮想通貨取引に係る税金は原則として雑所得に分類されます。
ただし、その年の仮想通貨取引に係る収入金額が300万円を超え、かつ仮想通貨取引に係る帳簿書類の保存がある場合には原則として事業所得として扱うことができます。
仮想通貨を相続・遺贈・贈与により取得した際は、相続税または贈与税が課税されます。
平成29年(2017年)7月1日以後は仮想通貨の取引に係る消費税は非課税となりました。
取引や採掘により得た利益の計算には仮想通貨の取得時の時価や経費などが重要になりますので、正確な申告をするためにはきちんと記録しておくことを心がけておきましょう。
個別の事案については税務署や税理士の方などにご相談ください。
最終更新日: 2024年02月15日
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